○ 解説・コメント
<1>.客を呼べる力の3レベル(大型店館内の飲食店のあるべき姿)
昭和58年千葉県浦安市に東京デズニーランドがオープンしたころグルメ
ブームが到来した。それ以前は、館内の飲食店は、疲れたら一息、空腹を満
たす買物の付帯サービス施設としての位置つけであった。しかし、グルメ人
口が増えるに従い、メニュー選好度の高い飲食店が生まれ、それがさらに分
岐して、特定飲食店を指名する厳しい時代へと変化を遂げています。
従って、館内飲食店のあるべき姿は、全館の営業ターゲットにフィトして
ることと、客を呼べる力のレベルが適切かどうかによって判断されます。
すなわち、店名の力で館外の客を呼べるか、食べたいメニューが館内飲食店で
満足されるか、あるいは食い気を解消させる飲食店の存在があるかなど、マー
チャンダイジングミックスの加減が大切です。
<2>.利用頻度は飲食店施設評価基準
施設の適切性はリピーターの多寡で決まります。リピーターはあるべき姿に
近づける努力と、現時点でおいしい味という評判が定着している必要があります。
もちろん飲食店の繁栄要素はメニューだけでなく、店の雰囲気、人的サービス
などにも左右されますが、最大の要素は「おいしさ」と捉え利用頻度の評価基準
とします。
<3>.おいしい味
食べ物のおいしさは、人の感じ方それぞれですが、より大勢の人がおいしと感
じれば、客観的においしいと判断します。従って、食した直後に「おいしさ」加
減について、評価程度をマーキングしていただき、そのポイント数の多寡で判断
することが適切です。このおいしさの程度が営業成績にどのように反映されてる
か、POSレジの販売数との相関分析による判定もあります。
さらに、大切な要素はたべるまえから、おいしさの評判が定着していて、少な
からずメニューの決定に際して影響を与え、もしくは来店誘引の力となっている
ことも重要です。
<4>.基本満足
料理のおいしさは最もベーシックな満足要素です。しかし、採算性に影響を与
える飲食店の要素は料理以外に設置場所、施設案内、施設の雰囲気、人的サービ
ス、販売促進なども列挙できます。これら視点から、採算性へ直結する課題がな
いかどうか抽出が必要です。
<5>.採算性
採算性で重視すべきは坪当たり販売高が一応の基準でしょう。販売効率の雑駁な
基準は、30〜40坪では坪月額25万円、60〜80坪では20万円前後が標準
です。採算性の動向も注目に価します。これは好不況に左右される短期動向でなく、
長期の展望が明るく開かれ、自信ある取り組みがなされているかどうかが特に大切
です。また、経営管理の姿勢も判断要素のひとつで、人件費はじめ経費の圧縮過程
で縮小姿勢かどうかも、利益の質的判断が必要です。
<6>.客のフィット
全館の顧客ターゲット、すなわち入店された客層に対して、飲食店のターゲット
がフィットしているかどうか重要です。話題性・流行性が高い店名ブランドや
メニューの存在は客を呼べる力として不可欠ですが、メインの入店客層と6〜7割
がオーバーラップしていないと今日の糧は得られません。逆に、わざわざ館外から、
飲食の為に目的をもって入店するような客をほとんど捕らえていないとすれば、入
店客に迎合しすぎで成績をあげるための精進が少なく、甘えの構造となっている可
能性もあります。また、入店客の一部限定で、特定の日時に、特定メニューを提供
するなど、客層に積極的にフィットさせる手法の採用も検討に値します。
以上の如く館内の飲食店再生の勘所を科学的な調査方法により、精査することを
お勧めいたします。
|