見せしめの烏
あるたんぼに鴨の親子が放たれている。水中の草の根や虫を食べてくれるから、稲の間
にはびこる雑草の発生が少なくてすむそうだ。田の周囲を、子どもの背丈くらいの網で囲
って猫に狙われないようにしているのだが、時には烏が子鴨を狙って、上から襲いかかる
らしい。
その田圃の主と会話ができた。烏は時には鴨の親鳥さえも食するらしく、昨年は鴨の内
蔵をついばんでいる烏を見て、ショックだったと話してくれた。お仲間に鴨と同じ効用が
あるとかで、網で囲った田圃に鯉を放っている方がいるらしい。口の動きが鴨のくちばし
の動きに似て、生える雑草を防ぐ効果があるらしいが、増えて良い筈の匹数が増えないと
悩みを打ち明けられたらしい。それも食べてる瞬間は見たことはないが・・・どうも烏が
原因と落ち着いたらしい。
烏は自分の影を水面に落とし、怖いもの知らずの子ガモが、餌と勘違いして寄って来た
ところを襲うと言う。たんぼの主が、みせしめに一羽の烏を犠牲にして、羽を広げてさか
さづりにし、烏どもを牽制している。黒い影が風に搖れて、少し不気味である。はたして
当の烏どもが恐れをなしているのかどうかわからないが、親ガモの後に連なって水中に頭
をつっこんでいる子鴨の姿は、なんともかわいいものだ。
無農薬栽培を成功させて、秋には美味しく稔らせておくれと、願わずにはいられない。
朝の散歩より
|